世界中的ベストセラーで引く手あまたのイスラエルの歴史家ユヴァル・ノア・ハラリ。歴史を深く研究した上で展開される人間というものへの洞察は圧巻です。人類が文明を築き、世界を征服した鍵は、虚構を集団で信じる特性にあるという考察は含蓄があり一種の絶望もあります。
二作目のホモデウスは、人工知能、人間の改良が起こる未来世界において、上記の特性を持ったサピエンスは何を求め、どう行動し、どう生きるのかという考察になっています。
そして現在執筆中とされる三作目は、今の世の中で起こっていることの深い意味、それを理解して個人はどのように人生の舵を切るべきかという問いに答える本ということです。一作目は過去、二作目は未来、でしたが、三作目は現在を考察し、21世紀に起こる進化にどう備えるかという内容とされています。
そんな三作目を執筆している著者の考えがこういった講演から垣間見れるのではないかと私は度々注目しています。
ダボス会議での質疑から
この47分の動画では各国の参加者から質疑に答える形でさまざまな考えを述べています。遺伝子操作、機械による人間の進化、それを超えて脳を改良するというSFのような未来についても彼は真顔でもう来る未来と語っています。
教育については中盤で数分語っていました。ここ数年、人工知能の進化で自動化が進み人々の仕事がなくなるという危惧が広まっています。彼は、新たな仕事は新たに創られると言っています。問題なのはその新たな仕事が今の延長線上では予測不可能であり、その仕事で人々がパフォームするためにどのような教育を与えれば良いのかがわからないということです。
昔、畑仕事をやっていた人が、トラクターが広まって仕事がなくなりました。しかしその人たちはさほど難しい訓練なくトラクター工場で仕事をまた得られたのです。いずれも比較的単純作業だったからですね。でもこれからの世界では全く異なると彼は言います。新しくできる仕事に求められることが違いすぎるのです。
不確実な中でも身につけるべきとされること
ではそんな中でも推奨できるとすれば、彼は、例えばという形で
- Emotional intelligence (いわゆるEQ)
- Mental resilience
- Ability to learn
などが大事と述べていました。
1は自分や他者の感情を理解する能力、そしてそれをうまくコントロールして自分や仲間のゴールを達成することをいいます。
2は生きていく中でさまざまな困難、人付き合いの悩みなどがある中で、ストレスに負けず問題を解決していく能力とされます。psychological resilienceとも言われるようです。
3は新しい事象も学んで身につける能力。自分のものにする時間が重要でしょう。
どうやって身につけるか
彼でも答えがありません。創造的で革新的な学校がそういうのを教えるようになってくるかもしれないが、大規模に(massively)実現する方法は全く見当がつかないといっています。
くるくるの方向性
今のくるくるはEQと相関しないとされるIQ訓練です。率直に言って、くるくるをやってれば上記を身につけ、不確実な世の中を乗り越えられるとは残念ながら言えません。
くるくるがその中で微力ながら役に立つと考えているのは、時間のセーブです。従来の紙ベースのペーパー対策より圧倒的に反復の数が増やせること、楽しいことから単位時間あたりの学習効果は桁違いということが、実際データから見えています。また親子間のストレスも減るはずなのでEQ面でも多少なりとも効果があるのではないかと考えます。
教育の仕組みを一夜にして変えることはできません。現行の教育システムに浸ってていいのか、でも代替はわからないしという中で、くるくるが現行必要とされるものを短時間で身につけることを助け、みなさんが新しい方法をいろいろと試す一助になればと幸いです。